夢の続き

不安定な曲線を描く蝶。
福井県、鯖江市神明。
駅前広場から真っ直ぐ延びる道を行く。美しい並木通り。
明るい街。子供の声が聞きたい。兄弟像にも見える、異国の高い木が並んでいる。
気温は35度。夏の終わりに歩くためだけに旅路を行く。汗が止まらず、着ているもの全てが濡れている。
全てが太陽に照らし出されている。私の意識も足元に落ちる短く真っ黒な影に狭められる。
歓びとはこのような一瞬の出来事だ。ふと泣いてみた。人間のような泣き方で。
声は出ない。赤ん坊の頃にはあった喉笛をこの左手の替わりに亡くしている。